Erika2,840 reviews88 followersFollowFollowJanuary 3, 2024図書館で見つけてなんとなく借りてみた。小さな伏線が最後の最後に綺麗に回収される系のミステリだと思って読み始めたが、そこまでのまとまりはない。というか、全6編中、最初と最後の書き下ろしでうまく真ん中の4編がまとまっているけれど、それがないと、4編それぞれバラバラの内容と言える。(1作目の子育て中の母親の葛藤と想いの押し付け/素直で賢くで優しい息子という物語以外の、後の3編は同じ舞台に立つ役者達の話なので、登場人物や物語の時間軸も全く同じだけれど、それぞれ独立した物語ともいえる)が、単行本にまとめる時にうまく全部に一貫する、カオスな行動をする登場人物がいるお陰で、本編内で結構大事な動きをする名も泣き脇役が、どんな理由でそのような行動を取ったのかが分かる、面白いまとまりになってて、結構良かった。(「I, Robot」の仕組みと似てる気もする、この「短編をまとめるメインキャラ達とその物語が短編集の最初と最後にある」ってスタイル。)脚本家/演出家の友人がいるし、「伊藤」という読書好きのキャラも出てくるし、結構身近に感じる要素も多めだったけれど、思ってたよりは「気持ちのいい伏線回収!」みたいな感じにならなかったので、普通に面白かった、で星3つ。(演劇の現場の体育会系なノリ、その雰囲気は、その職場で苦しんで鬱病になった幼馴染の事を思わずには居られなかったけど)ハードカバーの表紙が外れて、その裏にも超短編が載っていて、それがプロローグ/エピローグに登場するキャラ達の今後を思わせる微笑ましいもので、結構良かった。この細工になってる本にカバーかけるの、図書館の人も色々考えて大変だっただろうな。でもちゃんと読めるようになってて嬉しい。結構スッキリあっさりしつつも、心をえぐるような居心地の悪さを感じさせる文章力だったので、この著者の他の作品も読んでみたいと思った。mystery